私は仕事のかたわら、趣味で音楽の団体に参加しています。社会人が集まる団体なので、メンバーの職業はさまざまです。その中に、会社を経営されている方がいます。
私はその方と一緒に、団の運営に関わる役割を担っています。そして活動をともにするたびに「ああ、見ているところがまるで違う」と感じさせられるのです。今日は、その方から学んだことを書いてみます。

写真ひとつへの、すばやい判断
先日、こんなことがありました。
新しく加わったメンバーの中に、SNSなどへの写真掲載は控えたいと伝えてくださった方がいました。それを運営メンバー内では共有していたのですが、その日の活動を撮った写真に、その方が誤って写り込んでしまったのです。
それがわかったとき、誰よりも早く動いたのがその経営者の方でした。
出した指示は、「できるだけ早くご本人に謝罪して、不安を取り除くこと」。迷いのない、的確な指示。
私はといえば、自分が写真を撮影した本人だったこともあり、やってしまったという落ち込む気持ちと、写した方への申し訳なさで、ただただいっぱいになっている状態でした。

トラブル発生時の姿勢について気づかされた
そこへ経営者の方の指示が入り、はっとしました。私はすぐに、新しく加わったメンバーの方へ謝りに行きました。
そしてその後振り返り、気づいたのです。
この方が見ていたのは、写真を誤って撮ったという出来事そのものではなく、入ったばかりの人の「この団体、大丈夫かな」という気持ちだったのだと。
ここで対応が誤れば信頼は崩れ、その人は何も言わずに去ってしまうかもしれません。
つまりこれは、ただのトラブル処理ではなく、「新しい人がこの場に定着できるかどうか」の分かれ道だった。そう捉えているからこそ、あれほど判断が早かったのだと思います。
私は、ミスをしたことは認識できても、その先にあることまでも捉えての対処は出来ていなかったのです。必要なのは、信頼を損なわない行動でした。
「今」ではなく「この先」を見ている
その方の考え方には、ほかにも一貫したものがあります。
ひとつは、運営を「仕組み」にしようとする視点です。
誰かの頑張りに頼った運営は、その人が抜けた途端に止まってしまいます。だから業務を整理して、誰が担当しても滞りなく回るようにしていく。
もうひとつは、メンバーへのおもてなしの気持ちです。
居心地がいいから人が辞めない。新しく入った人も根づいていく。その積み重ねで、団は少しずつ大きく育っていきます。
どちらも根っこにあるのは、「この団が5年後、10年後も続いているか」という問いです。今日の判断を、未来から逆算して決めている。私はそこに、経営者ならではの思考を見た気がしました。
師長にも「経営者の目」は要る
師長は中間管理職です。病院の経営を決める立場ではありません。
それでも私は、師長も経営者目線を持っておくべきだと感じています。
スタッフと同じ高さからだけ物事を見ていると、目の前の問題をさばくことで手一杯になってしまいます。
スタッフから日々上がる相談。ちょっとした愚痴。いつもと違う、どこか不機嫌な態度。
それら一つ一つに飲み込まれそうになったり、実際飲み込まれたり…。
そんな日は、先のことを考える余裕がなくなり、目の前の問題にとらわれがちになってしまうのが、正直なところです。
スタッフの気持ちに寄り添う目と、少し高いところから先を見て、スタッフを導く目。
長には、その両方が必要なのだと思います。
スタッフが辞めずに育っていく職場であること。病院がこの先も地域に必要とされ続けること。
そこから逆算して、日々の判断をする。それが、私の考える「経営者目線」です。

お手本は、案外身近にいる
管理職としての学びは、研修や本から得るものだと思いがちでした。でも、こんなふうに職場の外で、思いがけずお手本に出会うことがあります。
直接見聞きし、肌で感じたことは、学びとして深く身につきます。
私はまだまだ、目の前のことで精一杯になる日ばかりです。それでも、尊敬できる人の良いところは、素直に学んで自分の肥やしとしていきたい。そう思えたこと自体が、今回いちばんの収穫でした。
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