娘に、施設入所を勧められる
私には娘が一人います。
先日、私の職場の話をしていたときのこと、ふと彼女が、こう言いました。
「私、介護なんてできないから。おかあさん、将来は施設に入ってな」
幸い、私はまだ介護が必要な状態ではないので、正直ショックを受けることはありませんでした。
むしろ、彼女に「一人で親の全部を背負わせる」という現状のほうが、私にとっては気がかりだったのです。

娘の言葉の裏にあるもの
娘は、人のお世話をすることが得意なタイプではないのです。母と同じ看護の道に行くという選択肢はさらさらありません。
そんな彼女の気質を知っているからこそ、将来できるだけ迷惑をかけたくないという気持ちはずっと持っており、「施設に入って」という言葉は、むしろ自然に受け止められるものでした。
ただ、娘からはこうも言われました。
「お金も出せないから、自分で貯めといて」
……娘よ、正直だわ…(笑)。
ケアマネ時代の記憶と、今の制度
かつて、ケアマネジャーとして働いていた頃、施設入所を希望される利用者さんを支援したことが何度かありました。
当時から感じていたのは、施設によって金額差はあるものの、入所するほうが自宅で暮らすよりお金がかかるケースが多いということでした。

介護保険施設について
公的な「介護保険施設」には大きく分けて次の3つがあります
(月額の目安も添えますが、要介護度や地域、居室タイプで変わってくるので、あくまで参考程度に見てください)。
– **特別養護老人ホーム(特養)**:要介護3以上が原則。入居一時金は不要で、月5〜13万円程度と費用は比較的抑えめですが、待機者が多い地域もあります。
– **介護老人保健施設(老健)**:自宅復帰を目指すリハビリ中心の施設。病院と自宅の中間的な位置づけで、月9.5〜14万円程度が目安です。
– **介護医療院**:医療的なケアが継続的に必要な方向け。多床室なら比較的費用を抑えられますが、個室だと高くなります。
私がケアマネをしていた10年以上前より、療養病床は廃止の方向で動いていました。
ただ正確には、療養病床には介護保険が使える「介護療養病床」と、医療保険が使える「医療療養病床」の2種類があり、2024年3月末に完全廃止されたのは前者だけ。その多くが介護医療院に移行しています。医療療養病床のほうは今もありますが、国は引き続き介護保険施設等への転換を後押ししている状況です。
制度の細かい線引きは、ケアマネ時代の私も混同しがちだったところなので、改めて整理できてよかったです。
民間の施設
上記の介護保険施設に加え、民間の「介護付き有料老人ホーム(月15〜30万円程度)」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」なども選択肢としてあります。
介護保険施設に比べると費用の幅は広く、サービス内容や立地によってかなり差が出るのが特徴です。
なお、低所得の方向けに食費・居住費の負担を軽減する「補足給付」という制度もあるのですが、2026年8月から一部の基準額が見直されています。制度は変わることがあるので、実際に検討する時期になったら、お住まいの市区町村で最新情報を確認するのが確実です。
国の方針と、私自身の考え
国としては、10年以上前から施設入所よりも自宅介護を推進する方向にあります。
もちろん、自分の力で自宅生活を続けられるうちは、地域の力も借りながら生活すればいいと思っています。
ただ、少しでも自宅生活が難しくなったときに、「自宅でなんとか頑張る」ことだけが正解ではありません。
施設という選択肢を選ぶことは、自分のためにも家族の為にも、決して悪いことではないと私は思っています。
さいごに

娘に「施設に入って」と言われたとき、悲しさよりも、娘のこれからと、私のライフプランを考えるきっかけをもらったような気がしました。
介護は、される側もする側も、「こうあるべき」に縛られすぎなくていいと思っています。それぞれの家族に、それぞれのちょうどいい形があるはずです。
今、介護をしている方、これから考える方の参考に、少しでもなれば嬉しいです。
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