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退職していった方々に思いを馳せる
先日、以前うちの職場を辞めていったある人から、「また戻ってきたい」という言葉を聞きました。
また戻りたいと思ってもらえる職場——そう思ってもらえるのは、嬉しいことです。
そのひと言をきっかけに、私はこの10年あまりで退職して行った人たちのことを、ふと思い出していました。

退職理由
今の病院に勤めて、10年と少し。その間に、本当にたくさんの人が辞めていく姿を見送ってきました。
退職理由を振り返ると、そのほとんどが「人間関係」だったように思います。
誰かと激しく衝突したというより、なんとなく居づらくなって、新しい場所を求めて去っていく。
そういう辞め方が、いちばん多かったように思います。
辞めていった人たちには、それぞれの事情がありました。
仕事の習得がゆっくりだった人。仕事はできるのに、プレッシャーに弱かった人。個性が強くて、うちの空気にうまく馴染めなかった人。
みんな、どこか不器用な所がありましたが、憎めない人たちでした。
みんなが辞めたいわけじゃない
看護師は、短いスパンで職場を変える人が多い業界だと思います。働く場所に比較的困らない環境にある事が、転職しやすさに繋がっているのだと思います。
でも私は、常にみんなが本当に「辞めたい」わけじゃないと思っています。
ひとつの場所で長く働きたい、慣れた人たちと、慣れた場所で。そう願っている人のほうが、きっと多いはずです。
それでも短い期間で辞めていってしまうのは、人間関係などでしんどくなるから。
看護の現場は、どうしても関係が濃くなりやすく、ひとたび歯車が狂うと、立て直すのが難しい世界ではあると思います。
受け入れる側の姿勢
「受け入れる側」は何もできなかったのか、
ここで、自分にも問いを向けなければいけないと思いました。
辞めていった人たちを「馴染めなかった人」と片づけるのは簡単ですが、受け入れる側、つまり私たちには、本当に何もできなかったんだろうかと思います。
あの不器用さを、もう少し待てなかったのか、あのプレッシャーを、少しだけ肩代わりできなかったのか。管理職として、私はそこを考えずにはいられません。
もちろん、患者さんを危険な目に合わせるようなことは、絶対にあってはいけません。
でも、それさえ守られていれば、もっといろんな人がいてもいいんじゃないかと、私は思うのです。
習得がゆっくりな人も、不器用な人も、個性が強い人も、「育てていく」という視点で共に働いていけたら、そう考えるのは間違っているでしょうか。
即戦力ばかりを求める職場は、強そうに見えて、実はとても脆いと思います。少しのつまずきで、人が抜けていってしまうからです。
むしろ、不器用な人をゆっくり育てていける職場のほうが、お互いが認め合えてスタッフも根付く。
長い目で見て強い職場になるのではないかと、最近の私はそんなふうに考えています。

居心地の良い職場環境
もし今、職場の居づらさを感じて「辞めようかな」と思っている看護師さんがいたら。
あなたが、そう感じているのは、あなただけの責任じゃないこともある、と伝えたいです。
そして、もし退職者を見送る側にいる管理職の方がいたら。
きっとあなたも、誰かを見送るたびに「自分たちに何ができただろう」と立ち止まっているのではないでしょうか。その小さな問いの積み重ねが、少しずつ職場の居心地を変えていくのかもしれません。
戻ってきたいと言ってもらえる職場、実際戻って来てくれる職場、そんな職場であろうとすること、それだけは、これからも大事にしていきたいと思っています。


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