看護師がケアマネ資格を取るメリット・デメリット

介護 ケアマネジャー

現在、病院の看護師として働いていますが、以前は10年ほどケアマネジャーとして勤務し、医療・介護の両現場を経験してきました。

そんな私が、看護師がケアマネ資格を取得することのメリット・デメリットについて、実体験をもとにお伝えします。

私がケアマネジャーに就いたのは、介護保険制度が始まって数年が経ったころでした。当時は、看護師や医師がスキルアップとしてケアマネ資格を取る姿をよく見かけたものです。

そもそも介護保険の理念とは

介護保険の根本にある理念は、「本人が自分らしく、自立した生活を送れるよう、社会全体で支援する」というものです。

そのため、本人が望まない限り、たとえ必要と思われるサービスであっても提供することはできません。

医療の世界でも「患者本人が治療を選択する」という点は同じですが、専門的な判断が必要な医療では、どうしても医療者側が主導する場面が多くなりがちです。ケアマネとして介護の現場に飛び込んだ当初、この違いに大きく戸惑ったことを今でも覚えています。

ケアマネジャーの働き方と給与

私がケアマネとして勤務していたときは、9時〜17時勤務・土日祝休みという働き方でした。平均給与は400万〜450万円ほどで、日中のみの勤務としては悪くない水準です。

ただし、仕事の内容は看護師とは大きく異なります。次のデメリットの項目でも触れますが、業務の範囲が曖昧で広がりやすい点には注意が必要です。

ケアマネ資格取得のデメリット

デメリット1:「なんでも屋」になりやすい

ケアマネジャーの本来の役割は、利用者の自立支援に向けたケアプランの作成です。しかし、やれることに上限がないため、気づけばなんでも引き受けてしまうケアマネは少なくありません。

特に独居の利用者を担当している場合、トラブルがあれば駆けつけ、急な受診には長時間付き添う、といった場面も珍しくありません。本来業務の範囲を超えた対応が慢性化しやすい環境です。

デメリット2:大量の書類作成業務

ケアプランの作成からサービス開始までには、膨大な書類作業が伴います。情報収集・課題分析・担当者会議の開催・議事録の作成・サービス提供票のやり取りなど、事務作業は際限なく積み重なります。

ケアマネ時代の私は、書類の抜け漏れがないよう丁寧に対応していましたが、それでも残業は日常茶飯事でした。

デメリット3:精神的な消耗が大きい

利用者のもとへ定期的に訪問し、話を聞き、寄り添い続けること。信頼関係の構築はケアマネとして欠かせない仕事ですが、その分だけ感情的な負担も積み重なります。

利用者との関係が深くなりすぎて精神的に疲弊し、リタイアしていった同僚を何人も見てきました。「人に寄り添う」という仕事の重さを、現場では痛感します。

ケアマネ資格取得のメリット

メリット1:利用者から信頼・重宝される

介護認定を受けている高齢者の多くは、複数の病気を抱えながら生活しています。そのため、医療知識を持つ看護師ケアマネは、病気への対応や助言ができる存在として、利用者やその家族から非常に喜ばれます。

「先生に言いにくいことをケアマネさんに相談できる」と話してくれた利用者も多く、医療と介護の橋渡し役として重宝される場面が多くありました。

メリット2:医師との連携がスムーズ

ケアマネは主治医と面談し、サービスの方向性についての意見を聞く場面が多くあります。看護師としての経験があると、アポイントの取り方、面談での伝え方・聞き方など、医師との関わり方を心得ているため、話がスムーズに進みやすいです。

メリット3:社会人としてのスキルが磨かれる

ケアマネの仕事では、医師・介護事業者・行政・家族など、多種多様な立場の人たちと日常的に関わります。サービスの依頼・調整・交渉を繰り返す中で、コミュニケーション能力や社会的なマナーは自然と鍛えられます。

また、粘り強く利用者と向き合い続ける対人援助の経験は、忍耐力と人間的な懐の深さを育ててくれます。これは、どんな職場でも活きる財産だと感じています。

医療現場に戻った今、思うこと

私自身は、書類業務の膨大さと精神的な消耗が重なり、10年のケアマネ生活を経て医療の現場へ戻りました。戻った当初は、長いブランクへの引け目も正直ありました。

でも今振り返ると、あの10年は決して無駄ではありませんでした。

入院は患者さんにとって非日常です。退院後の生活にどうつなげるかを意識しながら関わる視点は、介護現場での経験があってこそ自然と身についたものだと感じます。また、医師や他部署との交渉・調整も、以前より円滑にできるようになりました。スタッフ面談でも、根気強く寄り添う力が活きています。

これらはすべて、医療現場だけにいたままでは得られなかった力だと思っています。

まとめ

看護師がケアマネ資格を取ることは、スキルアップの一手として確かに有効です。医療知識を活かして利用者から信頼される存在になれる一方で、業務範囲の広さや書類業務の多さ、精神的な負担の大きさといった現実もあります。

大切なのは、「なぜケアマネを目指すのか」を自分の中ではっきりさせておくことです。給与・働き方・やりがい・将来のキャリア、どこに重きを置くかによって、この選択の意味は変わってきます。

私自身の経験が、資格取得を考えている看護師の方々にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。

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