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人員が不足すれば補充する。入職者が来れば定着してもらえるよう努める。管理職として、それは当然のことだと思っていました。
しかし現実は、それほど単純ではありませんでした。
今回は、人材確保・育成の現場で管理職も現場スタッフも、それぞれに抱える苦労について、率直に書いてみたいと思います。医療の世界に限った話ではなく、人を束ねるすべての職場に共通する話だと感じています。
新しい仲間が来た—でも、喜びは長くは続かない

新しいメンバーが加わると、職場全体が活気づきます。「やっと来てくれた」「これで少し楽になる」。その安堵感や期待感は、誰もが感じるものでしょう。
ところが、時間が経つにつれて、少しずつ空気が変わってきます。新人の成長スピードが周囲の期待に追いつかないと感じられた時、最初の歓迎ムードはいつの間にか、不満や焦りへと変わっていきます。
もちろん、現場スタッフが意地悪なわけではありません。日々の業務を抱えながら新人のフォローをしている疲弊感は、本物です。「もう少し早く覚えてくれたら」という気持ちは、無理もないものです。
ただ、その視線やため息を、入職したばかりの側もちゃんと感じ取っています。「自分はここにいていいのだろうか」という不安が積み重なり、やがて退職という選択につながってしまうことも少なくありません。
補充したはずの人員が、また欠けていく。その繰り返しを、多くの職場が経験しているのではないでしょうか。
「他人を育てる」ことの、根本的な難しさ
人材育成は、よく子育てに例えられます。確かに、思い通りにならない相手と向き合い続ける忍耐という点では、似ている部分もあるかもしれません。
でも、職場での育成は子育てとは根本的に異なります。子育ては、無条件の愛情を土台に、長い時間をかけて行うものです。一方、職場での人材育成は、お互いに他人である大人同士の関係の中で行われます。相手が自分より年上であることも珍しくありません。
「大人なのだから、説明すればわかるはず」——そんな前提が、指導する側に無意識のうちに根付いていることがあります。しかし実際には、経験も価値観も違う相手に、自分の理解と同じ速さで習得を求めるのは、なかなか難しいことです。その前提が崩れたとき、指導する側は強いフラストレーションを感じてしまいます。
「なぜわからないのか」ではなく、「どう伝えれば伝わるか」へと視点を切り替えることが、育成の本質なのかもしれません。ただ、そう頭でわかっていても、日々の業務の忙しさの中でそれを実践し続けることは、指導する側にとっても決して楽ではありません。
管理職と現場—それぞれの「見えない苦労」
管理職の立場からすると、まず「人を定着させること」が最優先です。即戦力でなくても、時間をかけて育てていくことが長い目で見た組織の安定につながると考えています。
一方、現場のスタッフにとっては、今この瞬間の負担が問題です。人手が足りない中で、育成に時間とエネルギーを割くことは、単純に「しんどい」のです。即戦力を求めるのは、わがままではなく、切実な現実です。
この両者の視点は、どちらが正しくてどちらが間違い、ということではありません。それぞれが、それぞれの場所で精一杯考えた末に出てくる、本音の声です。
ただ、「成長のスピードも、成長できる限界も、人によって違う」という事実は、どちらの立場にいても、念頭に置いておく必要があると感じています。その前提なしに育成に臨むと、入職者だけでなく、指導する側も、管理する側も、誰もが消耗してしまいます。
おわりに—「大変さ」を認め合うところから
人材育成に「正解」はないのかもしれません。それでも、現場も管理職も、それぞれが「しんどい」と感じていることをまず認め合うことが、小さな出発点になるのではないかと思っています。
完璧な育成環境を整えることは難しくても、「お互い大変だよね」という相互理解があるだけで、職場の空気は少し変わるものです。
また、現場に寄り添いながら、管理職が指導の方向を示し、職場全体で人を育てるムードができるようにしていくことも必要なのかもしれません。
人が育つ職場は、人が大切にされている職場でもあります。入職者だけでなく、今いるスタッフも、管理職も。
まだまだ管理職として成長途中の私です。色々な問題にぶち当たりながら、誰もが消耗せずに働き続けられる職場環境を作っていきたいと思っています。

♪今回、私も読んでみたいと思った本です。




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